先週末に経営ゲーム塾Bを開催しました。
前回に開催した経営ゲーム塾Cとの違いの1つとして、振り返りがあるということや全体にルールの説明をするということがあります。
そして経営ゲーム塾Bとしては今回がインストラクター研修を受けてから初の開催であり、説明の仕方や振り返りに使うツールを変えてみたりしました。
やってみて、教えてもらうのと実際にやってみるのとでは違うなと感じました。
教えてもらったことに引っ張られていたり、まだ自分のものとしてなじんでなかったり。
さて僕のファシリテーターの側面の話はこれくらいにしておいて、今回の経営ゲームの振り返りを書こうと思います。
まずは参加者からの感想と振り返りで共有したものです。
感想は抜粋して紹介しています。
・前回、ペアの人が「これどうしようと思ってますか?」と聞いてくれた。ペアで行う時、協力がカギ、片方だけうまくいくことはあまりない、と思っている。頭の中では二手三手先の選択を考えているわけで、それを共有するのは効率的であるし、協力できる安心感は楽しさにもつながる。(中略)
今日は200円しゃっきんをした後は場が循環しているのを感じた。決算表がひとりでは書けないので、まだ自分ひとりではできないなぁ。経営の本を読んで(読まされて)、知識として入ったことが、このゲームで(手を動かすことで)体感している感じがある。(Sさん)
・全体で物事をみる、日常の出来事、体験の度に振り返ることが大事だと思った。(Yさん)
・研究チップを次繰することは難しい。1枚次繰するのは精一杯で、経営方針を完遂できた、とまでは言えなかった。縁故採用があれば、工員退職もあり、労務管理がうまくいかなかった。
途中、相手企業の資金がショートしたため、無利子で10円貸し出した。これは初めての体験で、面白い。商品がないのに販売カードを引いて、A市場へ売ることができなかった。この時、相手企業におこぼれ販売をしてもらった。これまでなら、イヤーな気分になったのだが、その感じがなく「ドーゾ」となったのには、驚いた。
少しずつだが、成長しているのかも知れない。(Kさん)
ここに載せた感想は3人分になりますが、加えてもう1人参加された方がいました。
その方は初参加ながら金融会社に勤めていた経験もあって、経営ゲームに慣れるのが早かっただけでなく、振り返りでは実際の業務ともつながっていたということも話してもらえました。
といったような参加者4人での実施となりました。
では続いて僕の感じたことを書こうと思います。
ゲームの観察が大変に
参加者が経営ゲームをしている間に僕はどうしているかというと、どんなことが起こったか観察してメモをしています。
それはゲームの中で起こったことについてもあれば参加者の様子や言動についても書き残しています。
その観察するということが経営ゲーム塾の回を重ねるごとに大変さが増していっているのです。
大変になっているのはゲームの中で起こったことの観察の部分です。
僕がファシリテーターを務めた最初の頃はその部分に関してはそれほど大変ではありませんでした。
それが回を重ねるにつれて繰り返し参加している方が何回も経営ゲームを体験してだんだんいろいろなことを試すようになってくるのですね。
さらには不思議なことに、最近は初参加の人でも経営ゲームへの適応力が高いのです。
すると今回の感想に書かれていることもありますが、雇用者を増やしたり装置を大きくすることが起こるようになってきました。
さらには借金、プラスアルファなものである研究・広告を取得するようになってきました。
僕が観察するものが増えていくわけです。
今回も2卓ではありましたが、片方を見ているうちに気づいたらもう片方で観察するような動きがあるといったように、2卓の観察が大変になってきたのです。
僕がファシリテーターとして観察する研鑽を積むよりも経営ゲームの観察が大変さの増し具合の方が上を行っているのです。
観察が大変になったのは提供している側としてはとても嬉しいことでいいことではあるのですが、どうやら今後の観察の仕方を見つめ直した方がよさそうです。
よくそれほども大規模な会社を経営しようとするな~
今の話のようにいろいろなことをやるということは、それだけ経営ゲームの自分の会社の規模が大きくなるということなのですね。
中には会社の規模に関わらずのこともありますが、やらなくても上手くいく要素もあります。
やってもやらなくてもいいものをどうするかというのは、その人の性格が出ることなのではないかと思います。
そういった会社でこの経営ゲームを進めているのを見ていて、僕自身の感想としてになりますが、よくそんな大変なことをするな~って思ったのです。
僕がその人の代わりにその会社を受け持ってゲームを進めたとしたらできはしますが、自分からわざわざそのような大きい会社にしたくはありません(笑)
疲れるし見落としも生まれかねないし、リスクマネジメントへの気の張りが強くなりますし。
ですがこのように自分ではやらないことが見られるのが経営ゲーム塾の醍醐味の1つだと改めて思いました。
決算を理解するためには
上の感想にはありませんが、何回かやったことがある人から決算がなかなか1人でできるようにならないということを聞きました。
もう少し詳しく聞いてみたところ、決算を理解するということは大きく2つに分かれることに気づきました。
1つは決算のやり方を理解するということです。
やり方を理解するには構成・ルール・仕組みを理解することが重要ではないかと思います。
経営ゲームの決算表はこのような図式の会計になっています。
この決算表の構成としては上半分は現金の話、下半分は現金も含めた資本という目に見えない世界の話になっています。
そして人件費を払ってから総資本を算出し、初期資本を含めて前期までの自己資本を上回る利益がある場合は税金を計算して税を引いた利益を出す、税金と借入である他己資本と自己資本に分け、最後に利子などを払って次期の現金を出すというようになっています。
その中で税引利益というのは税も含めた利益の状態から税金を引くことで、今期の自己資本は前期と比較して利益(損失)を加えることで算出できます。
また、この決算表の仕組みとしては縦は足し算の関係であり高さが同じ部分はすべて合計が同じになっています。
ゆえに自己資本の出し方は総資本から他人資本を引いたものでもあるというわけです。
手順あるいはその部分では何を計算しているかを理解することでできるようになれば1人で決算できるようになるかと思います。
決算のもう1つの理解は経営感覚を理解するということです。
現金は数えたものがそのまま資本となるので目に見えます。
ですが資本は材料や装置になっていたり、その装置は期ごとに価値が下がるので勝手に変動するし、さらには借金をしているとその分の資本というのは自分のではないのに手元にある幻ですし。
これについてはやるよりほかないのではないかと思います。
何が資本変動にどれだけ影響を及ぼすかもつかむことも必要になってきますし。
僕も繰り返しやったことでつかめてきました。
経営ゲームの開発者である嶋崎さんは、経営ゲームは理解するには1000期かかると言っているそうです。
大変なことではありますが、決算のやり方に加えて経営感覚を理解できれば決算に対して大きな自信がつくようになると思います。
英語で並び替えの英文を答えるのがまさにこの話にあたると思います。
文法を理解すれば解くことができる、そこに語感というか作った英文を読んでみて変な感じがなければこれで合っているという自信を持てるように思います。
今回の振り返りは長くなってしまいましたが、参加者の感想を見ても最初の頃とは質が違うなと感じます。
整理をしたいということもあって、これまでの分をこのようにファイルに回ごとにまとめました。
すると僕がファシリテーターとなってから今回が12回目と、10回を超えていました。
それは感想の質も深くなっているわけですよね。
次回は11月12日(日)13:00~17:00に開催します!
いつもの人はもちろんのこと、初めての人も、久しぶりにという人もどうぞ(^^)