東京に行ってきて、夜からの用事の前に1か所寄ってきたところがありました。それは「みんなのレオ・レオーニ展」です。
レオ・レオーニと言われても誰と思うかもしれませんが、みなさん知っている人です。
小学校の教科書にも載っている「スイミー」や「アレキサンダーとぜんまいねずみ」といった絵本の作家です。
僕も最初は「スイミーの人なんだー」ってぐらいの気持ちで見に行った程度でした。しかしレオーニの生涯を知ると意外な事実がありました。
今でこそスイミーやアレキサンダーとぜんまいねずみなどの絵本作家で有名なのですが、もともとはデザインの仕事をしている人でした。
裕福な家庭に生まれて子どもの頃からヨーロッパでデザインの勉強をしていました。
しかしイタリアの施政によりアメリカに亡命することになり、そこでデザインの仕事をし始めました。雑誌の表紙などのデザインをしていました。
しかしデザインの表現に制約がかけられ描きたいものが描けないということで絵本作家になったと言われています。
そのためデザインの人ということからか、第1作は「あおくんときいろちゃん」という本なのですが、色を人に見立てた抽象的な作品なのです。
また「ペツェッティーノ」も図形が登場人物という作品で、僕も衝撃を受けて展示されていた本を読んでしまいました。
それに絵本の原画が展示されていましたが、絵を描くのに張り絵などさまざまな描かれ方がされているのです。
また、先ほど紹介した生涯にあったように政治的圧力を受けていた人なので、人種や多様性に関した絵本が多いのです。というよりおそらくすべてなのではないでしょうか。
「あおくんときいろちゃん」では2人(?)が混ざるとみどり色になるということが話の中に出てきます。
それにスイミーでもいろいろな生き物が登場しますし、ここで見つけたお気に入りの絵本「コーネリアス」はワニがサルから木にぶら下がることを学びます。
そういった部分が教科書の教材として採用されているところではないでしょうか。
一方で思ったことが、目の描かれ方です。こういう目ってなんかなじみないですか?基本的な丸い目でいうと、このデザインの目のシールがあるのです。
それと大きな話題を起こしたアニメ「けものフレンズ」に出てくる生命体で「セルリアン」というのがいます。
知っている人はそれが印象に残るかと思うのですが、その要因は目にあるのではないでしょうか?
また、うすら閉じしたような目も何か見覚えがないでしょうか?
そう、ガチャピンの目に似ているのです。
レオーニの目の描き方は強く印象に残るようなもののような気がしました。
それと、キャラクターが怒ったとしてもレオーニの絵には怒った表情がなかったことに気がつきました。
そしてこれは疑問なのですが、それはなぜねずみが登場する話が多いのかということです。
「アレキサンダーとぜんまいねずみ」だけでなく「フレデリック」「みどりのしっぽのねずみ」などいくつかあるのです。
レオーニは裕福な家に生まれたり、亡命したとはいえデザインの仕事をしていたりとねずみと縁のある生活を送っていたとは思えないわけです。
レオーニにとってねずみとはどのような生き物なのだろうかと気になっています。
これまでは「スイミー」の話の内容ぐらいしか知りませんでしたが、大人になって作者の生涯を知ったうえで読み直してみるととこれまでとはまた違った味わい方ができますね。