当初は2週間前に見に行く予定だったのですが、ようやく話題となっている「天気の子」を見てくることができました。
見る前から賛否両論ということは知っていました。実際見てみてこれは分かれると納得しました。
というより賛否両論ができて当たり前なストーリー構成なのでしょう。なぜならば極端に対極的なものが入り混じっているからです。
一番わかりやすいのは、「大人である」かどうかです。初見ながらにやけに陽菜の「大人になりたい」という簡素なセリフが心に残りました。
その一方で須賀圭介が「おまえも大人になれよ」というセリフがあります。
大人になろうと思っていない穂高、大人になりたい陽菜、大人になる渦中の須賀夏美、大人であろうとするけど…の須賀圭介、典型的な大人として描写されている刑事や鉄道会社の人など。
この作品は「大人になる」とはどういうことかの見る人の価値観、「大人になりきれていない人」をどう思うかによって感想が大きく変わるように思いました。
どうやらインタビューで新海監督は賛否分かれることを承知の上だったようですし。
そんなわけで、人によって大人になるという見方は異なる、ということを頭に入れた上で見ました。
そこの部分で評価するというのは、数学で2人の子どもが池のまわりを歩き始めるのにいちゃもんをつけるようなものなんじゃないか、それが新海誠なのだという解釈で十分なわけです。
それから対比の話の続きで、東京という都会を選択したことも、穂高が出てきた島、それだけでなく前作「君の名は。」の山の中との対比があるのではないでしょうか。
そして、雨と晴れなわけでもあります。
ただ、大人ということが核になっているがゆえに難しかったことなのではないかというのが、話の終え方でした。ちょっと中途半端に終わったというか。
いっそのこと、会えた!降りてこられた!東京の街の様子、雨がザー。ぐらいで終わった方がスッキリしたのではと今では思います。
きっと伝えたい部分がまだあったからなんだろうなぁ。
映像については、作品の題材が天気というわけで雨の雫の描写が特徴的でしたが、見ていて不思議と思い出したのは「崖の上のポニョ」と最近やっていた「君と波にのれたら」でした。
最初からあの描写を見たらちょっと気持ち悪く思っていたかもしれないけど、耐性っていうと語弊があるけど受け入れられるようになっていたのかもしれません。
ちなみに「天気の子」がいいと思える人は、それと恋愛要素と人の命についての折り合いができれば「君と波にのれたら」もオススメしておきます。
誰からしても称賛をされる部分なのではないかと思ったところがありました。それは劇中の効果音です。最後のクレジットで誰が音響監督を務めていたのかと追ったほどでした。
セリフや音楽に引けを取らないような強さはあるのですが、尖ってはいない絶妙なバランスに感じました。それに必要以上には複雑にしていないクリアさ。
調べてみたら「君の名は。」でも担当していたみたいですが、それをはるかに超えたクオリティに思えます。
何よりも「君の名は。」に比べるとストーリー自体は分かりやすくなっていていたというふうに思いました。
こういったところにも大人ということが無意識で見方に影響を与えていそうでした。
僕としてはこういうできすぎた話も好きなので、けっこう楽しめました。