【連続投稿106日目 1746投稿目】
【作成日時:(昨日の投稿と合わせて)11/1 23:25~23:39、74分】
昨日投稿した映画「きみの色」の感想の続きになります。
昨日は山田尚子監督らの過去作品との関係を中心に書いたのでマニアックな話もありました。
ですがその上での今日のストーリーや作品のつくりに対する感想となっているので、まだの方はこちらを先にご覧ください。
itasan-kibunyasan.hatenablog.com
ストーリー面では、ざっくりいえばひょんな流れでバンドを結成した3人がそれぞれのおかれた環境の向かい風を受けながらも音楽活動をしていくというもので、それ自体はよくありがちな王道展開です。
そのような王道展開の過程でよくあるのは、仲間うちですれ違いが起こりけんかして関係性が悪くなり、何かしらのきっかけで仲直りし仲が一層深まる、なんて展開です。
最近やっていた「夜のクラゲは泳がない」というアニメがまさにそうでしたね。
ですが「きみの色」では3人の距離感が遠ざかったことはあっても、関係性が悪くなるという展開にはしていなかったのです。
ここにただならぬ山田尚子さんや吉田玲子さんのこだわりを感じました。
けんかさせれば見ている人の感情を揺さぶり引きつけ、その反動で仲直りした時には爽快感を与えられるものとなったことでしょう。
しかしその道をあえて選ばず、波風の立たない展開のストーリーで終わりまでもっていったのです。
ですので見る人によってはストーリーに起伏が欠ける、退屈な作品と思う人がいてもおかしくないと思います。
そんなリスクを冒してまでもこの構成を選んでいるのです。
それは山田尚子さんが社会に一石を投じたようにも思いました。
ストーリー紹介では
周りに合わせ過ぎたり、ひとりで傷ついたり、自分を偽ったり-(中略)それぞれが誰にも言えない悩みを抱えていた。
(中略)
わたしたちの色、わたしたちの音
とあります。
さらに山田尚子さんからのメッセージには
思春期の鋭すぎる感受性というのはいつの時代も変わらずですが、 すこしずつ変化していると感じるのは「社会性」の捉え方かと思います。
すこし前は「空気を読む」「読まない」「読めない」みたいなことでしたが、 今はもっと細分化してレイヤーが増えていて、若い人ほど 良く考えているな、と思うことが多いです。
「自分と他人(社会)」の距離の取り方が清潔であるためのマニュアルが たくさんあるような。
表層の「失礼のない態度」と内側の「個」とのバランスを 無意識にコントロールして、目配せしないと いけない項目をものすごい集中力でやりくりしているのだと思います。
ふとその糸が切れたときどうなるのか。
コップの水があふれるというやつです。
彼女たちの溢れる感情が、前向きなものとして昇華されてほしい。 「好きなものを好き」といえるつよさを描いていけたらと思っております。
とあります。
僕自身も個人と社会の関係性というものをここ2年ほどは特に考えていることですが、作品づくりから内容まであらゆる部分で大切にしながら作っていたのではないかと思います。
これ以上書くとキリがないので、続きはぜひこちらのネット記事もご覧ください。
ですがもう少しその関係の話をすると、舞台はキリスト教の学校で、
「変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください」
「変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください。」
というセリフがあります。
これは「二ーバーの祈り」というものであるようで、人間性や環境に対する「変えるべきもの」「変えられないもの」というのが作品の核でもあるように思います。
このあたり、キリスト教のことも理解するとより製作者に近づくことができるのではないでしょうか。
今回は大学時代の生協学生委員会仲間がXで一緒に行きたい人を呼びかけてくれたおかげで見ることができました。
話が変わりますが、経営ゲーム的な視点から考えるとおこぼれ販売ではありませんが、関係性を大事にしていると、こうして他力に乗っかる機会が訪れるものですね。
久しぶりに会えてお互いの最近の話もして、穏やかな時間を過ごせました。
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